あぶだくしょん🛸

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一つ輝く僕の星《団次郎さんを偲んで》

 去る3月22日に帰ってきたウルトラマンの主人公・郷秀樹を演じた俳優の団次郎さんが亡くなられました。
 実写ウルトラマンシリーズの主役を演じられた俳優の訃報は団さんが初めてで大きな衝撃を受けています。
 今回は団さんを偲んでウルトラマンジャックこと帰ってきたウルトラマンについて綴ります。

帰ってきたウルトラマンとは

 帰ってきたウルトラマンとは1971年に放映された円谷のウルトラシリーズ第四作にあたる作品です。
 ウルトラファイトウルトラマンウルトラセブンの再放送の好調ぶりから製作され70年代の第二次怪獣ブームの絶頂と変身ヒーローブームの牽引をさ担いました。
 以前の円谷作品よりも広いスタジオに組まれた精緻なジオラマや当時の日本を舞台にしたヒューマンドラマを主軸にしたシナリオが見所です。


溢れる人間ドラマ

 主人公・郷秀樹を含めて帰ってきたウルトラマンの特徴は人間味に溢れた登場人物達にあるでしょう。
 郷のウルトラマンの力に対する過信や慢心を乗り越える試練の数々やMAT隊員の信頼や衝突がドラマを盛り上げます。 
 こと台詞の一つ一つに重みや暖かみが込められています。そこから使命感や悲壮感・人間性が表現されドラマに厚みとリアリティーを与えています。

 個人的に好きな台詞は決戦!MAT対怪獣での岸田森さん演じる坂田が東京からの疎開を拒否した際に戦時中の幼い頃に母親と防空壕に逃げ込んだ頃の話をするシーンです。このシーンで坂田の人間の厚みが増すのと淡々と語る様から坂田の人間性が垣間見れる所です。

郷秀樹という人間

 主人公・郷秀樹について少し触れましょう。
 郷秀樹は元々は坂田自動車工場で工場長の坂田と共に流星号というレーシングカーを製作してグランプリでの優勝を目標としていました。
 ある日、怪獣の襲撃から少年と子犬を守り命を落としますが自らの命を省みない勇敢さと小さな命を救おうとする優しさに感銘を受けたウルトラマンに命を預けられて蘇ります。
 以後はMATに入隊し怪獣との戦いに身を投じます。その渦中で郷はウルトラマンの力に対する慢心や強敵を乗り越える為に試練に立ち向かいます。

 序盤ではウルトラマンの力故に隊員との軋轢や慢心によって危機を迎える事が多くありました。その度に自らの信念に従い、時として鼓舞されながら幾度となく再起していきます。
 郷の試練としては第2話が印象的でしょう。ウルトラマンの力に慢心した郷は命令を無視した上に怪獣を取り逃がしてしまいます。隊長からは除隊を言い渡されてしまい坂田自動車工場に戻るも坂田からも突き放されます。郷は自らの慢心を恥じて人間として死力を尽すからこそウルトラマンの力を扱える事を悟り再起しました。
 郷も含めて人間のもつ善いところと悪いところを目の当たりにしながらもウルトラマンとMATの使命や正義を弾みにして怪獣や宇宙人と戦い抜きました。
 郷秀樹の魅力の最たる面は前述の出来事を通して表される心優しい好青年である事に尽きます。


 
 郷秀樹というキャラクターはハヤタの様に万事手回しが良いわけでもなくダンの様に沈着冷静とした性格でもありません。しかし未熟であればこそ苦難を乗り越えて成長する姿を通して見える人間性に惹かれます。
 最後に郷秀樹を演じて命を吹き込み愛させてくれた団次郎さんに哀悼を捧げてこの記事を終えます。
 是非とも帰ってきたウルトラマンを見て団さんの演じた郷秀樹の魅力を知ってください。